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■アロマトピア No.67 [2004年11月25日発売号掲載]

(出版社:フレグランスジャーナル社)

アロマトピア No.67(2004年11月25日発売号)表紙
【特集/スポーツにおけるアロマテラピーの活用−最近の事情と活用術】

[目次]

東洋医学と身体運動科学−アロマとの統合の可能性…加藤皓章著

〜東洋医学と身体運動科学とアロマとの統合の可能性〜

はじめに 

一年前までは、アロマを導入するとは、夢にも思わなかった筆者が、アロマ界の泰斗、JAA(日本アロマコーディネーター協会)常任理事である浅井隆彦先生と出会い、ごくごく自然にアロマテラピーを研究することとなった。それは浅井先生のセミナーを受講した私の患者さん25名が、アロマに非常に興味を持ち、アロマコーディネーターになりたいという意欲をみせたことにもよる。本年一月のことである。これまで治療成績が思わしくなかった患者に家庭でのエッセンシャルオイルの使用を勧めた患者数名(今までは鍼灸治療と整体治療だけであった)が、アロマ芳香浴やアロマヘッドマッサージを取り入れて併用してから、

1)一週間で体重が3キロ減、ウエスト5cm減で半年後の現在も持続中である。(おもにアロマ半身浴)

2)82歳の男性が半ボケが改善され、車を乗り回す様になった。(アロマヘッドマッサージ5日間連続ローズマリー)

3)腰椎ヘルニヤの手術後の足の痺れが、短期間で改善された。(ゼラニウム・ローズマリー・ラベンダーなどの半身浴約1ヶ月、鍼灸治療を一週間に1回6ヶ月経過した後に併用)

4)歩行が自分ひとりでは困難であった80才女性、漢方エキスクリームにローズマリーを混ぜ、ヘッドマッサージを毎日10分間するように長男に指示したところ、みるみるうちに、普通に歩行できるようになった。料理や洗濯も出来るようになった信じられないような話(約1ヶ月、他の治療は一切なし)

その他にも好結果が随所に現れてきた。今までの鍼灸と整体の限界を突破するメカニズムの存在に私自身魅了されアロマの可能性を確信している毎日でもある。

今回、アロマテラピーが今まで臨床研究を重ねてきた東洋医学(鍼灸・整体)と身体運動学(トレーニング)などを統合させ、新しい治療や養生、体調管理のシステムを構築し、多くの人を救うことが出来る偉大なる力を秘めていることを感じ、この論文を発表させていただきたいとおもいます。

1、骨格筋とエネルギー代謝

現代科学はヒト成人において、運動によるエネルギー消費とは別に骨格筋がエネルギー代謝の調節に大きく関与していることをつきとめた。

東京大学大学院の石井直方教授(運動生理学、トレーニング科学)は次のように述べている「筋が収縮するとき、消費するエネルギーの50%以上が熱として放散されることは60年以上前に発見されましたが、安静時に筋が熱を生産するしくみは長い間謎でした。最近これが「脱共役たんぱく質」(uncouplinng protein:UCP)によるものであることがわかってきました。UCPはミトコンドリアという、有酸素代謝によってATPを作る細胞内器官にあり、代謝反応とATP生成反応の間の連絡(共役)を阻害することで、糖や脂質のエネルギーを直接熱にしてしまうたんぱく質です。したがって、このたんぱく質を作る遺伝子は(浪費遺伝子)ともよばれます」(現在のところ三種類発見されている。)

UCP1(褐色脂肪細胞において発現している。)

UCP2(骨格筋や白色脂肪細胞、肺、心臓など五臓六腑やほとんど全ての組織に発現している。)

UCP3(「ヒトでは骨格筋に特異的に発現している)

Claphamら(2000)はUCP3を多量に発現する(遺伝子組み換え)マウスを作ると、多食にもかかわらず体脂肪が少なくなる((ヤセの大食い))ことを示しました。したがって、このUCP3が筋の発熱に重要な役割を果たし、「太りにくさ」の体質にも関係していると考えられます。

(マウスやラットでは急性の運動後(30分程度の走運動など)で、UCP3の遺伝子とたんぱく質の発現がともに上昇し、上昇の程度は速筋で(3~4倍)、遅筋で(1~1.5)ぐらいであった。また興味深いことに、ラットに高脂肪食を1ヶ月与えると、筋でのUCP3の発現が減少し、同時に体脂肪が増加することが示されました」

また「ラットでは、持久的トレーニングを継続的に行なわせると、筋でのUCP3の発現が減少することが示されています。Schrauwennら(1999)はヒトの筋でUCP3の発現を調べ、持久的アスリートでは、その発現が優位に少なくなっていることを示しました。これは、持久的トレーニングを継続すると筋が「エネルギー節約型」になることを示しています。

一方、このことは、持久的エアロビクスを長期継続すると,「油断すると太りやすい体質」を作ってしまう可能性があることも示唆しています。マラソンの高橋尚子選手のオフでの変身ぶりはこれが一因かもしれません。」※1

この石井教授の指摘はわれわれ臨床家やトレーナーに多くの問題を提起しています。

筆者が特に今回強調したいのは、

1.運動、いわゆる骨格筋を操作する動き(歩行、ランニング、ストレッチング、体操、気功太極拳、ヨガ、武術)など

2.東洋の手技医術である鍼・灸・指圧・マッサージなど経穴(多くの経穴は筋と筋の割れ目に存在する)を利用したり、脂肪繊維、筋肉繊維に直接はたらきかける他動的施術など

1.2.がエネルギー代謝の調節を促進することに大きく関与する身体運動、および医術であることである。

事実1.の身体運動後や2.の施術を受けた患者が施術中から施術後または、回を重ねる度にある一定の効果として、

1 身体が芯からあたたかくなり、冷え性が改善された。

2 身体が軽くなり疲労感がなくなった。

3 汗が良く出るようになった。

4 浮腫がなくなり、全身倦怠感がなくなった。

5 施術後、ウエストが3センチ位は縮まった。又首が細くなり顔が引き締まる。

6 熟睡出来るようになり、朝が爽快になった。

などの患者の感想は、私の25年の臨床経験でも、枚挙にいとまがないくらいの日常のこととして受け入れられている。上記1〜6は明らかに患者の熱産生機能が亢進したからと言える。『特に正しく適度な身体運動や東洋の手技医術は骨格筋におけるUCPの発現と維持、再生に大きく関与し、免疫力、自然治癒力を向上させ、パフォーマンスの向上に貢献する重要なものと考えられる。』

2、東洋医学と思想について

諸症状の改善や体調の良好さは、同時に生体エネルギーの一つであるといわれている『氣』が充実してきたことを意味する。諸症状が改善されていくことを、東洋医学では陰陽と五行が調和されてきたと診る。また免疫力や自然治癒力のことを「胃の氣」とも呼び脈診法では特に重要視している。この脈診法は、手首の上方、前腕橈骨茎状突起前を中心に3ヶ所(寸部、関部、尺部)左右計6ヶ所に存在する脈所(脈拍がとれるところ)の脈状を観察して五臓六腑の状態と生命力の状態、生死吉凶を診察する方法である。筆者は25年の間、この脈診法を研究していますが、症状が改善されると確実にこの部位の脈状における「胃の氣」に潤いが出て艶があり充実した脈になってきます。例えば、「細くて力のない脈が太くなり力強くなり元気が出てくる」「かたくていびつな脈がやわらかくなり全体が帯状になりでこぼこしていたのが調和してくる」「荒々しい波打つような脈がおちついて艶が出てくる。」などである。

東洋医学では、1.「風・熱・湿・燥・寒」という天地自然。2.内因(ストレスや環境の変化などによる七情(喜・怒・憂・思・悲・恐・驚)の乱れによる内傷。3.飲食と労倦(労働過度)の三つが人体に及ぼす影響を望診、問診、聞診、切診によって把握する。筆者は、とくに脈診法を診断法の中心にすえている。

筆者の研究によれば、ストレッチや適度な運動の前後でもかなりの脈状の改善が見られる。継続的な骨格筋の身体操作は、五臓六腑を強化させ、免疫力も向上し、それに伴って、脈状もやわらかくて潤いのあるものになることを確認している。

東洋医学では、氣が充実し、身心の陰陽五行が整うと、元神(理性・水晶のこころ)のエネルギーが発揮され、こころが平静になり、恬淡虚無の境地となり、己の目標に向かって淡々と道を歩くようになると教えている。道教や神仙道では特に元神の発揚から上丹田(理性)、中丹田(慈悲・愛)、下丹田(実行力)を練る養生法を教えている。これが氣功の源泉である。

元神とは頭の中心に鎮座する身心の機能を司る偉大なる運転手のことである。

東洋文化の華ともいうべき、氣功、太極拳、ヨガ、武術などによる鍛錬法もこの骨格筋、骨、関節などの身体操作と大きく結びついているものである。言い換えれば、あらゆる身体運動の原理は、「重力(上下)エネルギーを水平(前後・左右)エネルギーに変換(回転モーメントによって)する技法であり、この効率の優劣が「健康と病気」「達人と凡人」とに分かれるともいえる。功とは工夫する、練習するという意味があり、今風に言えばメソッド(氣を取り入れ技を磨く)ということになろうか。理想的なストレッチングも見方を変えれば、氣功能力開発と言えなくもない。

丹田やチャクラの開発ということも東西の文化を越えて大きな身体運動科学という分野で統合され、人類の進化と発展に寄与されていくものと思われる。

3、脳の高次機能とアロマテラピー

筆者の治療室にも最近では、ストレスによる食生活のアンバランス、異常食欲(どか食い)など肥満を中核としながら自律神経系の症状や種々の不定愁訴を訴える患者が特に多くなったきた。またスポーツ選手などにも、監督、コーチ、選手間、家庭などの環境変化やコミニュケーション・相性の問題などのストレスによって、才能を伸ばしきれなくなったり、ウエイトコントロールがうまくいかないケースも多々みうけられるようになった。

最近の科学では食行動について次のような見解がなされている。

「肥満者の食行動には脳の高次機能が深く関わっていることがわかっている。これを無視して食事療法をすると、必ずリバウンドを起こすことになる。行動療法が現在頻用される1つの理由は、この高次機能の狂いを考慮に入れてくみ上げている点にある。不思議なのは肥満が改善して普通の体型に戻っていくと異常な食行動はほとんど消えてしまうことである。減量後でも残っている場合にはリバウンドを起こすが普通の人とほとんど変わらない程度に肥満が改善して異常な食行動がなくなったとき、その治療は完結するのである。

これが視床下部レベルの話であれば、食欲をモニタリングしている中枢であるから、そこまで踏み込まなくても良いのだが、しかし、情動や概念をコントロールしている部位は大脳辺縁系や大脳皮質連合野といった高次脳にあるので、重症化してくればくるほど言葉を手段にした治療、つまり説得や説明といった教育は受け入れられにくくなるという特徴がみられる。高次脳は視床下部からの情報を受け取り、これをまとまりのある情報に整理・統合する。これを再び視床下部に戻すわけで、この過程を経ることよって、初めて食行動は合目的的行動になる。だから、高次脳の機能自体に問題がある場合には他からいくら言葉で説明しても、言葉が言葉として入らなくなるので、その結果、治療成績は努力の割りには上がらなくなってしまうのである」※2

肥満に限らず、自律神経失調症、更年期障害、スランプ、運動音痴、「わかっているけどやめられない」などは、この高次脳の機能と視床下部とのキャッチボウルのような回路機能と関係性があると考えられる。

筆者がアロマテラピーを導入して、芳香浴やアロママッサージを勧めたほとんどの患者さんにいえることは、導入以前より、

1)コミュニュケーションがスムーズになり、説得やアドバイスが受け入れられやすくなった。

2)積極的にポジティブに目標をもって行動できるようになった。

3)頭の切りかえがはやくなり、くよくよしなくなり自分で問題の解決ができるようになった。

4)女性の場合ダイエットを考えなくてもダイエットに成功しているようである。

5)鍼灸治療がより効果的になり相乗効果が見られるようになった。

短期間で上記のような効果がみられることから、アロマは、脳の高次機能を正常に回復する有効な手段であると考えるものである。1000種類以上の香りをかぎ分ける遺伝子が見つかっており、今後の研究や臨床応用次第では代替医療の中心的存在になるであろうと推測できる。

スポーツアスリートの世界では、1〜2kgのウエイトコントロールの差が大きく成績を左右する。このウエイトコントロールが「その後の人生を大きく左右する」といっても過言ではない。しかしよく考えてみるとスポーツ選手のみならずこれはすべての人にあてはまる基本的な定理である。

4、身体運動学とアロマによせて

最近の身体運動の分野では、健康管理やパフォーマンスの向上には、体幹部や各関節を取り巻く深層伸筋群の柔軟性や筋出力の鍛錬が、特に重要であるといわれている。大腰筋、腸骨筋、ハムストリング、ローテーターカフ、また腰椎、仙骨、骨盤、股関節、肩関節などの適度な可動性の確保とそれに伴うバランスのとれた各部の身体操作が動作美、肉体美となって、パフォーマンスの向上にもつながっていく。

それはまた人間個々の生き方、心の心象にも重要なファクターとしてかかわってくるといえる。

筆者は、患者やスポーツ選手(特に体調管理やウエートコントロールに悩んでいる)を治療や、トレーニング(ストレッチングなど)を指導する際に次のようなことを話している。

・一番大切なこと「余分なぜい肉,脂肪はいらない」と脳に判断させること。大脳辺縁系、大脳皮質連合野と視床下部の連絡キャッチボウルが大事。

・脳神経(頭部)と脊椎神経(背骨)と各組織を心と身体に常に意識させ、繋げる努力をストレッチングや歩法、準備運動、すべての日常生活において意識化させることである。

・「下半身やせ」『ウエストのくびれをつくる』のにもっとも大事な点は、腰部などでは、とくに腰椎4番、5番と仙骨に大きな力がかかるため下半身にトラブルがおこりやすくなる。身体のエンジンルームの骨盤や股関節も動きにくくなり下半身にトラブルがおこる。この部分をゆるめるストレッチングや治療で全身の血液や体液の流れを阻害しているものを取り除くことが出来る。下半身の脂肪代謝を促すのにも有効である。

・「美脚になるには」「足のむくみをとるには」「冷え症を改善する」には脛骨と腓骨と足首の調整すること、すねの周りの筋肉をゆるめること。

・腸腰筋とは、内臓や腹部全体を支える筋肉で腰椎から始まる大腰筋と小腰筋、骨盤から出る腸骨筋の総称で、大腿部の小転子につながっている。大腿を上げたり背骨や骨盤を支えて正しい姿勢を維持したりするのに重要な役割を担っているが、この筋肉がたるんだり、力がなくなると、下腹が出たり、猫背になり、中年太り体系になってくる。引き締まった身体にしていくには、腸腰筋を活発に運動させ強めることが大事で、またアスリートの絶対条件である。

・肩甲骨の動きが手先の美しさと腕を磨く基本となる。ローテーターカフをストレッチすることが大事それがまた襟足の美しさにもつながります。

・ウエストをくびれさすには腹横筋が大事です。腹横筋を鍛えるには、横隔膜と呼吸筋とあわせて、腹式呼吸を毎日心がけるとウエストが縮まって細くなってきます。腹式呼吸がなかなか難しい人は、プールやお風呂のなかでやると、簡単に会得できるようになる。

以上の様な要旨でリーディングしていくわけであるが、筆者も含めて毎日実行していくには、困難がつきまとう。そして言い訳をしたくなる。それは意志が弱いからかもしれない。体力がないからかもしれない。しかし「目標は達成したい。」「計画は実行したい。」「夢は実現したい」「あの山の頂上に登りたい」という気持ちだけはもっている。多くの人がそうではないだろうか。さてどうするか、筆者は新しい方法をみつけだした。

毎日、エッセンシャルオイルを使って半身浴30~40分。そのお風呂の中で、今日一日の反省をし、腹式呼吸をし、簡単なマッサージ(頭から足底まで)とリラクゼーションストレッチング そして自分に言い聞かせるのです。「私の身心の五臓六腑が強くなり、陰陽五行が調和された」「脳と総ての身体の機能が正常に働き自分の目標が達成される。」と「宇宙の創造主に感謝、太陽・月・星に感謝、両親や師に感謝、友人や人に感謝、衣食住に感謝」そして「エッセンシャルオイルに感謝!!」

この方法で確実に成果を上げつつある人が何人かいる。一つ一つ積み上げ、実行する身体能力を身に着ける。地道に努力を積み重ね、まじめに歩く。肩肘張らずにリラックスしてマイペースで、いつか飛躍的に伸びるチャンスがやってくる。知行合一した者が、道を達成できる。

そしてアロマ的生活で人生が楽しく愉快になってくる。迷っては駄目だ。悩む必要はない。自分自身(元神)を信じることだ、傷つけないことだ。アロマで身心の垢を洗い流そう。アロマは癒してくれる。

おわりに

今回、最も重要な食養生について書くことが出来ませんでした。次回機会があれば発表したいとおもっています。

1.科学(可視・不可視世界の解明)

2.哲学・宗教

3.芸術(身体文化)・スポーツ

この三つは統合して論じられながら、おのおの発展進化していかなければいけないものであるのに、この視点が特に我が国の科学界(医学界)、宗教界、芸術界に不足している大きな問題点だとおもいます。アロマはおのおののセクトで凝り固まっているこの三者を統合さす大きなエネルギーをもっているような氣がしてなりません。アロマが混迷している日本人および日本の再生と超人類社会の進化の鍵を握っているという思いをつよくしています。アロマに救われ導かれ、携わっている総てのセラピストやアロマ人の地道な努力が日本の医療を変革させる原動力になることを期待します。

このような発表の機会を与えて下さった編集諸氏に感謝申し上げます。


[引用文献]

※1 健康体力研究所、http://www.kentai.co.jp石井直方氏 スポーツマンの生理学、レジスタンスとれーにんぐは脂肪を減らすか「浪費遺伝子」の視点から

※2 医道の日本2004年8月号「肥満に対するアロマオイルマッサージの治療効果について」金子智久、押川悦世115p






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