鍼灸理論は古代中国で発生し、前述した『黄帝内経』で体系化されました。中国医学の思想
は、人間の体は「血液」と「気」の調和によって成り立っているとしています。そして、生命
子不ルギーを体の隅々まで送る通路を「経絡」と呼び、この経絡の流れが滞ると病気になると
説いています。そして、経絡には三六〇個以上の「経穴」が点在し、体の各部位と密接につな
がっているといいます。この経穴とは、俗にいう「ツボ」のことです。
身体深くに隠されている臓器と、身体表
面近くにある経穴(ツボ)とは密接に結び
付いて、ツボを刺激することによって臓器
の機能が矯正されると考えたわけです。こ
の理論は、西洋医学的な観点からしますと
。科学的”に解明されたわけではありませ
ん。しかし、体験的・実証的には、その効
果は西洋医学を信奉する医師でも認めない
わけにはいきません。
鍼と灸を一緒にしましたが、それは同じ・箱yの上から出発し、同じ理論、同
じ体系のなかで育った兄弟のようなものだからです。施術の道具として鍼は金属製のバリ”
を用い、灸は。モグサ”を燃やすやり方に分かれたと考えられます。
日本では、法律(「按摩・マッサージ・指圧師・鍼師・灸師等に関する法律」)により、鍼・
灸は「医業類似行為」の扱いで、医業とは明確に区別されています。ただし、医師の承認があ
れば保険が適用されるなど、何となく宙ぶらりんの立場に置かれていますが、本場中国では、
西洋医学と並列に扱われている分野です。
鍼は、法律で素人が行うことは禁止されていますが、実際問題として、長短、太絹、いろい
ろな鍼をツボに打ち込むことは専門家以外では不可能でしょう。灸は焼き跡が残るというので
今ではあまり行わなくなりましたが、最近は。無痕灸”や。知熱灸”など焼き跡が残らない灸
が市販されており、これだと素人でも簡単にできます。
日本では、鍼・灸師にかかる人は腰痛の場合が圧倒的ですが、胃腸病や呼吸器疾患にも効果
があります。参考までに紹介しますと、WHO(世界保健機構)では、鍼・灸の効果を認めた
症例として、鼻炎・感冒などの上気道疾患、気管支炎など呼吸器疾患、結膜炎など眼科的疾患、
胃下垂・十二指腸潰瘍などの胃腸疾患、頭痛など神経疾患などを上げ、身体のあらゆる部位の
変調に鍼灸は効果あり、としています。